ママカリずし


ママカリずし  あまりのおいしさにママ(ご飯)が足りなくなり、隣りから、ママを借りて来たためママカリという名がつけられたといわれていますが、ママカリはまさしく岡山の魚であり、代表的なふるさとの味でもあります。
 ママカリは和名をサッパといい、体長十〜十五センチメートルの背が緑黒色、腹が銀白色のコノシロに似た魚です。学者によってこの魚をイワシ科に入れる人とニシン科とする人がありますが、五〜七月ごろ産卵期を迎えて内湾に集まってきます。 南日本から朝鮮半島南部の南海に分布しますが、岡山県では、午窓、日生、下津井、岡山、笠岡の海でよくとれます。
 そのママカリを使った料理のなかでも、とくに有名なのがママカリずしです。
 お祭には、ママカリずしは欠かすことのできないもので、岡山南部地方でママカリといえば、ママカリずしが連想されるほどです。このあたりでは、波静かで天気のよい日、しかも祭や家族の祝いごとなどのあるときは、海へ行ってママカリを釣って来て、ママカリずしをつくるのが習わしのようになっています。たくさん作ったときは、「珍しくもないのですが、味をみてください」とことばを添えて近所に届けます。これもこの地方ならではのことです。
 ママカリずしを作るには、釣ってきたばかりのママカリの鱗をそぎ、尾を残して頭とはらわたを取ります。指で骨をはずして開き、塩をやや多めにぷって身をしめ、すし飯用の酢に漬けておきます。すし飯を左の手の中でまるめ、この上につけておいたママカリをにぎりずしのようにのせるとでき上りです。
 また古くは、ママカリの押しずしも作られていたようです。これは升型の木枠の底に葉らんを敷き、その上にすし飯を置いて、ママカリの酢漬けをのせ、さらに葉らんを敷きます。これを交互にくり返して強く押して四〜五日おき、よくしまったすしを切って食べます。この押しずしは今ではほとんどつくられなくなりましたが、懐かしい思い出の味です。